こんにちはshuheiです。
写真はZ5IIの方ができることが多い、動画はZ6IIIの方ができることが多い。
けれど、どんな機能や性質を優先するかによって選択肢が変わるなというのが現時点での僕の結論です。
では本日もよろしくお願いします。
Nikon Z5II
先代機Z5から5年ぶりの2025年4月に発売となるZ5II。
画像処理エンジンがExpeed 6からExpeed 7に進化、背面チルト液晶がバリアングル化、AFの強化、4K60pと正当進化を遂げていますが、僕にとって最大の関心ごとは表面照射型から裏面照射型CMOSセンサーに変わったこと。これによって暗所耐性が先代Z5と比較して改善されているはずです。
Nikon Z6III
先代機Z6IIから4年ぶりの2024年7月に発売されたZ6III。
Z6IIの後継機ではあるものの動画性能の向上、部分積層型CMOSセンサーと、静止画と動画の両方を高いレベルで撮影できるカメラとして生まれ変わりました。
詳しくは過去の記事に詳しく書いてあります。
Z5II外観
先日ニコンプラザで見てきた時のものです。
先代Z5とほとんど変わらないサイズ感と重さ、インターフェース。
多少大きく重たくなっていますが、手で持って比較しないと分からないかな。
肩液晶がオミットされているのもZ5から継続されています。
記録媒体はSDカード、デュアルスロットで静止画の場合は両カードに記録する設定があります。
バリアングルの感じはZ6IIIと違いがないように思いました。
EVFはZ6IIIの方が高画素ですが、優劣をつけるならという意味で特段不満はありません。
肩液晶の有無とEVFの性能差がありますが、個人的にはこれらを理由にカメラボディを選ぶことはなさそうなので、今のところ外観はZ6IIIとZ5IIでイーブンです。
AF性能
Z5IIにはZ6IIIにはない(2025年4月時点)鳥認識AFが搭載されています。
ニコンプラザでは動く鳥の模型を撮影しました。
設定はAF-Cで3Dトラッキング+鳥認識、使用レンズはNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRです。
これには驚きました。
野鳥撮影はほとんどしたことがないのですが、後ろの背景に流されることがほとんどなく9割くらい鳥の瞳をAFが捉えていました。しかも速い。
ただし画面の半分くらいが鳥を占めているほどアップで撮影している条件がありました。
50mmくらいで景色の中に鳥がいるくらいの状態だと鳥以外の場所に食いつくことも結構あったので、望遠レンズで撮るような、いわゆる野鳥撮影時のサポートが効いている感じです。
鳥認識を切ってオート認識にするとあまり鳥を追いかけなくなったので、これはZ6IIIと同等のAFですね。
暗所ノイズや高感度ノイズ
暗いところでのノイズの乗り、ISO感度を高くした時のノイズを見てみます。
こちらはISO14400とかなりの高感度ですが、なかなか粘っているなという印象。
本当はZ6IIIと比較したかったんですが時間がなくてかないませんでした。来週もし時間ができたらもう一度行ってみようかな。
そして暗所。
これはニコンプラザで黒い箱の中に置かれた造花と猫を撮影する暗所テストです。
本当に光のない被写体を撮影しました。
ちょっと等倍で見てみましょう。
ノイズ、全然いいですね。
完全にノイズが消えることはないので、このノイズが良いノイズか悪いノイズか、で考えるようにしています。
これはZ6IIIも良かったのですがZ5IIもいいです。
自然な感じ、邪魔をしていないという印象です。
星景写真も試してみたいですね。
動画性能
動画に関してはサンプルを用意することができませんでした。
しかしZ6IIIと比べてスペックが違うので写りや運用がしやすいかはあまり関係ないのかなと思います。
動画に関してZ6IIIではできることがZ5IIではできない、という観点で見ていきますと、APS-Cクロップなしの4K60pは撮影できないというのが大きなトピック。
30pならばRAW動画も内部記録撮影できます。
イメージセンサー
Z5IIはZ5から大きく進化し、24Mピクセルの裏面照射型CMOSセンサーとなりました。
裏面照射型になることで暗所ノイズが乗りにくくなったり、ダイナミックレンジが広がる効果が期待できます。
対するZ6IIIは部分積層型。
センサーの読み出し速度が上がる為、ローリング歪みが出にくくなる性質があります。
ローリング歪みは電子シャッターの時に大きく目立つようになります。
よくスマホで撮影した扇風機の羽が不思議な形になっている画像が例示されることが多いですね。
静止画であれば大抵はメカシャッター、あるいは電子先幕で撮影することで解消されます。
しかしシャッター音を完全に無音にしたい時や動画撮影の時は電子シャッターに頼ることになる為、素早い被写体を撮影する場合にはローリング歪みをいかに押さえるかは悩みの種です。
価格差
2025年4月時点のニコンダイレクトでの販売価格ベースでZ6IIIが435,600円、対するZ5IIが258,500円。
価格差は20万円弱です。
さてこの価格差は主に動画性能です。
フルサイズ4K60p RAW動画が撮れる、ローリング歪みが少ない。こういった利点に20万安着上乗せできるかどうかが、Z6IIIを選ぶかZ5IIを選ぶかの判断基準になる人が多いと思います。
またダイナミックレンジの広さや暗所耐性はセンサーの仕組み上Z5IIの方が僅かに高性能、現時点で鳥認識AFがZ6IIIに搭載されていないことを考えると、静止画撮影においては撮影ジャンル次第でZ5IIの方が有利という状況です。
キットレンズ
ここで簡単にキットレンズセットの紹介です。
Z6IIIはボディ単体の他、Z6III 24-120レンズキットが551,100円。ボディ単体との価格差が115,500円です。
Z5IIは2種類のセットがあり、NIKKOR Z 24-50mm f/4-6.3のセットが299,200円、NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRのセットが358,600円です。
それぞれ40,700円、100,100円の差額です。
レンズの割安感で言うとやはりZ6III 24-120レンズキットが最もコスパ良く、次にZ5II 24-200レンズキット。
この中での最推しはNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRです。
装備が大きく重たくなりがちな風景写真撮影の場だと、このレンズ1本でカバーできる被写体がとても多いからです。
結論
はじめにお伝えした通り、ざっくり言うと写真はZ5IIの方ができることが多い、動画はZ6IIIの方ができることが多いという印象です。
ダイナミックレンジの広さ、強力なAFはZ5IIの特徴です。
一方、電子シャッター時のローリング歪みの少なさ、クロップなしのフルサイズでの4K60pのRAW動画撮影はZ6IIIの強みです。
ここに重量や大きさの要素も含まれるとZ5IIの方が僅かに小さく軽量ではあります。
ただしあまり大きな差は無さそうです。付けるレンズ次第で簡単に逆転する程度の重量、大きさの差かなと思います。
またバッテリー寿命(1回の充電で撮影できる枚数)もZ6IIIの方が僅かに長いですが顕著な差はありませんでした。
(Z6IIIの方が積層センサーだから寿命短いかと思ったけど、意外とZ6IIIの方が長持ちだった)
登山やサイクリング、星景写真などの風景写真を撮ることが多い僕はZ5IIを推します。
差額の15〜20万円でレンズをもう一本購入した方が出来ることが増えそう。
Z5II 24-200レンズキットを購入した上でNIKKOR Z 17-28mm f/2.8やNIKKOR Z 20mm f/1.8 Sを追加すると風景写真撮影でできることが増えそうです。
こういうボディとレンズの組み合わせを考えるのもとても楽しいですね。
カメラボディの購入の機会はそうそうあるものでもないので、ぜひ楽しんで選択していただければと思います。
余談
ここから、余談です。
昨年Z6IIIを予約開始日に予約をし、Z6からZ6III + 24-120mmに乗り換えたのですが、今回のZ5II、正直言って完全にやられたと思いました。
実売価格で495,990円のZ6III 24-120レンズキットを予約開始直後に予約、発売日に購入した身としては、Z5IIが発表され、価格が分かった時に「これで良かったじゃん……」と。
同じ装備を購入するならZ5IIを232,650円、NIKKOR Z 24-120mm f/4 Sを138,600円で購入したと思う(価格はマップカメラさんの実売価格)。
そうすると124,740円も安く済むわけ。
動画もやらないことはないけど、そんなに頻繁ではないし、Zfcと同時撮影することを考えると編集のしやすさからMOVで撮る可能性まである。
風景写真撮影をメインにしている僕にはかなりのオーバースペックだ。
ただニコンさんもこの辺り自覚があるらしく、2024年10月からは2万円、2025年2月からはなんと5万円のキャッシュバックキャンペーンを実施しています。
対象はボディ単体及びレンズキットの両方。
これで実質的な価格差は約11万円まで縮まっています(Z6III 342,040円に対しZ5II 232,650円)。
24-120mm購入前提なら差額約7万4000円なので(Z6III 445,990円に対しZ5II 232,650 + 138,600円)、動画性能向上分で勝負できなくはないかなといったところ。
(Z6III 24-120レンズキットがお得すぎるとも言える)
僕は野鳥撮影をしないので鳥認識AFについてはそんなに魅力を感じてませんが、部分積層でない裏面照射型のダイナミックレンジの広さとノイズ耐性については星景写真撮影でアドバンテージをZ5IIに取られていると思っています。
これもなかなか勝手にしてやられた感。
一方であのタイミングでZ6IIIを買っていなかったら去年の夏の燕岳や大天井岳、常念岳には携行できなかったので、それで目を瞑るかとも思ったのですが、別にそれなら当時持っていたメインカメラのZ6 + 24-200で行っただけだろうし、なんならZ6ならTZE-01も動くので14mm GMで天の川撮影できただろうとか、思い返せばむしろZ6IIIを買った意味とは?と考えてしまうんですよね。
結構ネガティブなこと言いましたが、Z6III自体は結構気に入っています。
バッテリーの持ちがZ6と比べて悪くなった気がするとか、撮影してると結構熱持つなとか、マイナス要素がないこともないですが、概ね気に入っています。
Z6みたいにディスプレイ開いた状態でアイセンサーが働いて見えなくなるとか、縦位置撮影がしやすくなったとか、USB給電による撮影ができるとか、結構嬉しい進化がたくさんあります(一部Z6IIIでなくZ6IIでもいい機能ありますけど、つまりZ5IIでもいい)。
特にRAW動画やLog撮影が内部記録でできるようになったのは撮影や編集の楽しみが増えたなと思っています。
ともあれ、僕は当分Z6IIIと付き合っていく所存です。
いずれちゃんとしたレビュー記事も書くつもりなので良かったら楽しみにしていただければと思います。
それでは今日はこの辺りで。