こんにちは、shuheiです。
今年2025年は3年ぶりに日本で皆既月食が楽しめます。
この機会にぜひとも皆既月食撮影に挑戦してみたいので、備忘録も兼ねて皆既月食撮影の準備や設定、機材などをまとめて、攻略ガイドを用意しようと思います。
これを読めば誰でも皆既月食が撮れるぞ!
それでは本日もよろしくお願いします。
皆既月食とは
まずは皆既月食について簡単に。
皆既月食は月が地球の影に隠れてしまう天文現象で、満月が徐々に欠けていき、赤黒い赤銅色に染まります。
この赤銅色は地球の大気を通った太陽の光が月に届くことで生まれます。
前回日本で観測できた皆既月食は2022年11月8日、今回は2025年9月8日の未明に皆既月食となります。
ちなみに次回は2026年3月3日と、割と短めのインターバルですが、その次は2029年の1月1日です。
当日のスケジュール
撮影の準備に入る前に当日のスケジュールを確認しておきましょう。
2025年9月8日の未明には日本全国で皆既月食が観測できます。
ここでは東京都内で観測できる現象と時間、そしてその時の月の高度をまとめました。
現象 | 時刻 | 高度 |
---|---|---|
半影食の始まり | 0:26 | 45.0° |
部分食の始まり | 1:26 | 39.7° |
皆既食の始まり | 2:30 | 31.0° |
食の最大 | 3:11 | 24.2° |
皆既食の終わり | 3:53 | 17.0° |
部分食の終わり | 4:56 | 5.2° |
各現象の時刻を前もって確認し、撮影のスケジュールを組みます。
特に皆既食の始まりと終わり、最大時刻はカメラの設定変更の重要なタイミングになります。
月の高度変化も把握し、撮影場所や前景の取り入れ方などを事前に考えておきましょう。
深夜帯の撮影になるので標高の高い場所に行く際は防寒も忘れないようにしましょう。
撮影機材の準備
皆既月食の撮影は事前の準備が欠かせません。
しっかり準備をして撮影に臨みましょう。
カメラ選び
一眼レフやミラーレスがおすすめですが、高倍率ズームのコンデジでも撮影可能です。
特に皆既月食中の赤い月はとても暗い被写体になるので、高感度性能に優れたカメラがあると心強いです。
月は意外と小さな被写体なので、上記のようにAPS-Cセンサーを搭載した入門機がおすすめです。
フルサイズセンサーよりセンサーが小さいので、同じ焦点距離のレンズでも被写体を大きく写すことができます。
200mmのレンズを使用した場合、上記のNikon Z50IIならば換算300mm、Canon EOS R10ならば換算320mmとして使用できます。
レンズ選び
先述の通り、月は意外と小さい被写体なので望遠レンズがおすすめです。
最低でも300mm程度、可能ならば400mm以上の望遠レンズを選びたいです。
Nikon Z50II ダブルズームキットを購入するとNIKKOR Z DX 50-250mm f/4.5-6.3 VRが付いてきますので、換算375mmになります。
24mm前後の広角レンズで風景と月を一緒に撮影する場合、皆既食前の明るい月は白飛びしやすいので、できれば事前に満月の状態で撮影をして試しておくと失敗しにくいと思います。
三脚について
ブレない写真を撮るために三脚は必須です。
皆既月食中の赤い月は特に暗い被写体で、シャッタースピードが遅くなります。
手ブレを抑えて月をくっきりと写すには三脚を使いましょう。
特に超望遠レンズなどレンズだけで1kgを超えるような重たい機材を使う場合、微細な揺れも抑えられる安定性の高い三脚を選びたいです。
少し値は張りますが、これくらいの三脚があると安心です。
あると便利なアイテム
他にもあると撮影が便利になるアイテムがあります。
必須級ではありませんが、余裕があれば揃えましょう。
レリーズ
カメラに触れてシャッターボタンを押した時に発生するブレを防ぎます。
予備バッテリー
長時間の撮影になるので、あると安心です。
防寒具
9月の頭なのでよほどのことがなければ寒くなることはありませんが、長袖が一枚あるといいでしょう。
2000mを超えるような標高の場所に行くならば軽めのダウンがあってもいいと思います。
椅子やレジャーシート
長時間の撮影になるので快適に過ごせるように準備しましょう。
ただし他の撮影者や観測をしている人の邪魔にならないように注意しましょう。
ヘッドライト
街頭のない公園や道、山の中などは当然ですが、都市部でも手元は意外と暗くなることがあります。
撤収の際の忘れ物防止にも役立つのでぜひ用意しましょう。赤色ライトがつくものが好ましいです。
撮影場所選び
皆既月食をどこで撮影するか、事前にしっかりリサーチしておきましょう。
光害について
皆既月食は星景写真や天体写真と比べると明るい被写体ではありますが、街明かりに影響されるくらいには暗い被写体です。
特に風景と一緒に撮影するならば出来る限り光害の少ない場所を選びたいところ。
このような光害マップを確認すると、東京都心部は赤や白ばかりで、光害が強いことがわかります。
天の川が見えるくらいの暗さだと緑や青、最低限黄色くらいの場所が好ましいですが、都心部からはだいぶ離れることになります。
首都圏ですと奥多摩や日光、伊豆などが比較的暗い場所になりますが、夜間の移動は日中と比べると難易度が上がります。
前回2022年11月の時のように、最大食の高度がかなり高い位置であれば都市部でも街明かりの影響を受けにくいのですが、今回はかなり低い位置での最大食となります。
そもそも都市部だとビルに阻まれて月が見れないということもあると思いますので、やはり7月や8月の満月のタイミングで、最大食の高度で月が見れる場所であるか確認しておくと完璧です。
それでも都市部で狙うなら
都市部は光害が多いですが、開けた場所を選べばチャンスはあります。
河川敷
南から西にかけて川が流れている河川敷であれば撮影に適している場合があります。
広大な公園
広場や原っぱが広い大きめの公園を狙いましょう。
ただ公園は夜間利用のルールや三脚、椅子などの持ち込みに制限がある場合があるので事前に確認しておきましょう。
自治体の公園課に問い合わせると確実です、ちょっと面倒ですけど。
撮影設定
皆既月食は時間経過と共に明るさや見え方が変わります。
その為、それぞれの段階に合わせてカメラの設定を調整する必要があります。
マニュアルモード(Mモード)
前述の通り明るさが刻々と変化していくので、カメラのオートモードでは対応しきれないことがあります。
ISO感度、シャッタースピード、F値を個別で設定できるマニュアルモードで撮影しましょう。
マニュアルフォーカス
ピント合わせもマニュアルフォーカス(MF)で合わせましょう。
特に皆既月食中は暗く、オートフォーカス(AF)では合わないこともしばしば。
ライブビューモニターやEVFで月を拡大して、クレーターがシャープに見えるようにピントを追い込みましょう。
一度ピントが合ったらMFのまま、できればF値も変えずに最後まで撮影に臨みます。
ホワイトバランス
ホワイトバランス(WB)もオートではなく太陽光にしておきましょう。RAW撮影の場合はそこまで気にする必要はありませんが、各段階でWBにバラツキが出ないようにすると後に調整しやすいと思います。
各段階の露出設定
参考までにこれまで僕が実際に月を撮影した時の露出設定をまとめました。
風景も含めて撮影する時などは調整が必要です。
最後に
今回は9月と翌年3月とで皆既月食間隔がとても短い機会です。
もし今回うまくいかなくても3月にも再チャレンジできるので、ぜひこの機会に挑戦してみてもらいたいです。
では今日はこの辺りで。